|
| 世界の熱帯から温帯にかけて約2,000種のシロアリがいるが、日本には22種が分布しており、野外の樹木を食害とするものが多く、この中部地方で建築物を加害する代表的な種類は、ヤマトシロアリとイエシロアリで、まれにアメリカカンザイシロアリの被害も見かけられます。 |
| シロアリの名前をクリックすると分布地域がご覧いらだけます。 |
| ヤマトシロアリ Reticulitermes speratus(Kolbe) |
 |
ヤマトシロアリは、中国では散白蟻と呼ばれている。文字通り散らばる分散型(分離・再生する)のシロアリで小集団で散発的に餌を求めてコロニーで移動しながら食害をしている。その行動半径は最大5メートル位で、一つの集団は1〜5万匹くらいである。通常湿気の多い箇所を食害しているが、よく乾燥した天井裏材も食害している現場によく出くわすことがある。
材木種類による好き嫌いはあるものの、実際の現場ではあらゆるものを食害する。プラスチックやレンガに穴を開けた現場にぶつかった事もあり、最近よく使われる発砲保湿剤などはその保温性能ゆえによく穴を開けられる。シロアリは何処にどんな種類の材木があるのかは判らず、ぶつかった物を先ず齧ってみるという行動から、餌のある場所を確認しているようです。
基礎コンクリートや束石にぶつかると、小集団で採餌行動を行い、上・下・右・左とあらゆる方向へ行動します。地表部分へでるときは、土と糞でトンネル(蟻道という)を作 り、天敵と乾燥から自分を守りながら、行動範囲を拡げて餌を求めます。
材木の中にはシロアリを誘引する物質を含む物もあり、そんな材木にシロアリが侵入すると瞬く間に大きな被害を及ぼします。床組材を食い荒らすことが多く、柱や筋交いなどを食い登り、小屋組材にまで被害を及ぼすことがある。
ある種の腐朽菌の出す物質に誘引されるので、被害部は腐朽と混在することが多く不潔な印象を受けるが、イエシロアリに比べると劣るが、水を運ぶ能力があるので乾燥した小屋組材などをイエシロアリさながらに加害している現場に良く遭遇する。
職蟻を50匹ほど生息条件を考慮して飼育すると、1週間ぐらいで中の1匹が産卵を始める。コロニーを分断すると1つのコロニーが2つのコロニーに分かれることは良く知られていて、故に中国ではヤマトシロアリのことを散白蟻と命名しているほどで、駆除工事などで完全な処理を行わないと、2〜3年で通常なコロニーに再生して羽アリを群飛させるようになる。
羽アリ(有翅虫)は薄墨色の翅をもち、頭の先から翅の先端までの大きさは、12〜14o位で、体の色は黒褐色で本州では4~5月頃、雨の後のちょっと蒸し暑いような日の午前中に群飛(スオーム、結婚飛翔ともいう)し、翅を落とした後♀♂カップルになって、土の上に置かれた木材の下や、切り株、木材の隙間などに潜り込んで新しいコロニー(集団)を作り始める。羽アリの飛行距離は100メートル位と言われているが、風にのってもっと遠くまで飛ぶこともあるのではないかと思われる。王の大きさはあまり変わらないが、女王は産卵のために卵巣が肥大し伸長して10数oになる。
生息の北限は年平均気温10℃以上とされているが、日本では7℃台の北海道上砂川町を北限として現在日本全土に分布する。
|
 |
| イエシロアリ Coptotermes formosanus Shiraki |
 |
イエシロアリは世界で最も被害の大きいシロアリと言われ、特に熱帯・亜熱帯・温帯地方の一部地域で驚異的な被害を出しています。ヤマトシロアリと違い一度成虫として職蟻や兵蟻に分化すると、生殖階級に移行しないで、終生職蟻や兵蟻としての一生をおくります。
塊状の巣を造ることが特徴で、発達したコロニー(集団)では直径1メートル以上にもなる巣を地下・床下・壁体内・小屋組・生きた庭木の樹幹につくり、さらに数個の分巣をつくることもあります。このような集団ではシロアリの数は100万匹にも達し、短時間で建築物に甚大な被害を及ぼします。自ら水を運ぶことができるので、床組材を水平的に食うばかりでなく、比較的早く軸組材を垂直的に食い登り、小屋組材に激甚な被害を及ぼす。
羽アリ(有翅虫)は薄茶褐色の翅をもち、頭の先端から翅の先端まで15〜18o位で体の色は茶褐色で、中部地方では6月下旬〜7月上旬の雨上がりの蒸し暑い日没直後に群飛(スオーム、結婚飛翔ともいう)が行われ、明かりに向かう性質(走光性)があり、羽アリの飛行距離は数百メートルから1000メートルになることもあり、これは結婚の相手が得られやすいという種族維持の重要な意義を持っている。翅を落としたあと♀♂カップルになって、土の上に置かれた木材の下や、切り株、木材の隙間などに潜り込んで新しいコロニー(集団社会)を作り始める。王の大きさはあまり変わらないが、女王は産卵のために卵巣が肥大し伸長し体長も27〜40oにも達し、自分の体重で自力では動くことも出来ない状態になる。高温季には毎日数100個の卵を産む。
日本における分布は長いこと、沖縄・奄美諸島・小笠原・伊豆諸島・九州・四国・本州の静岡県以西の海岸線に沿った温暖な地域に限定していたが、戦後神奈川県に侵入し、現在は横須賀・秦野・相模原・横浜(磯子)木更津市・館山市等にも定着し民家にも被害を拡大している。尚、この伝播は自然に行われたものではなく、人間によって運ばれたものなのです。南の島からの樹木の搬入や物資の運搬に伴って、イエシロアリも運ばれたのです。 |
   |
| アメリカカンザイシロアリ Incisitermes minor(Hagen) |
 |
アメリカで防除に最も手こずっている厄介なシロアリで、そのために燻蒸処理が米国で盛んになったといわれる。乾燥した木材の水分だけで生存できる独特の生態を持っているので、材木の運搬や木製の家具などと共に世界中に広がっています。戦後輸入木材や引越荷物とともに日本にもちこまれたものといわれている。体長はかなり大きく、その兵蟻は10数oもあり、数珠状触覚の第3節だけが他節より長大である。砂粒状の乾いた糞を排出する。
アメリカカンザイシロアリが日本で最初に発見されたのは1975年に東京都江戸川区で、それから20年のあいだに、全国各地で発見され以下のように多くの事例が報告されている。
神戸市兵庫区(1979年)・神戸市東灘区(1979年)・和歌山県邦賀郡(1980、1982年)・神 奈川県三浦郡(1982年)・和歌山市(1982年)・和歌山県東弁婁郡(1989年)・東京都板橋区(1990年)・福山市(1991年)・四日市市(1991年)・大阪市阿倍野区(1992年)・山口県上関町(1993年)・鹿児島県加世田市(1995年)・横浜市(1998年)
報告された以外にも、気付かない被害や木食い虫の被害と思われているものが沢山あるものと思われます。生息が報告されている各地の温度状況を考えると、北海道をのぞいた日本全国で生息が可能であると思われます。大量の木材が日本に輸入されている状況からして、今後新たな種類も発見される恐れもあります。
|
|